Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
筑波における地表大気中の粒子状塩化物の濃度と挙動
広瀬 勝己土器屋 由紀子杉村 行勇
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1983 年 34 巻 1 号 p. 31-38

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抄録
 筑波研究学園都市の地表大気中に含まれる塩化物の濃度について報告する。塩化物の濃度は、冬期に高く、他の季節には低い傾向が明らかである。粒径別に大気浮遊塵を採取した試料を用いて研究した結果、冬期の塩化物は小粒子に濃縮している事がわかった。この季節における塩化物の高い濃度は、地表付近の逆転層の生成および風の弱い日に出現することをたしかめた。大気浮遊粒子中の塩化物と全炭素濃度にはよい相関があり、一方ナトリウムと塩化物の間には、何らの相関もみられない。したがって以上の理由から、筑波において冬期出現する地表大気中の高い塩化物濃度は、農業廃棄物の燃焼などによる局地的な汚染とその時期に一般的な地表付近の逆転層の生成との相乗作用によって起るものと考えられる。
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© 1983 気象庁気象研究所
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