抄録
北太平洋西部における緯度経度10°ごとの14の区域に出現した台風の地理的分布とその長期的変動を調べた。1951-1980年の30年間について各区域の年間出現度数を求めた。長期的変動をみるために5年の移動平均をしてから、主成分分析を行った。得られた固有ベクトルによって、南シナ海の区域と、沖縄の南東やカロリン諸島付近の区域とは、台風の出現度数が逆相関にあるなど、出現度数の地理的な変動を解析した。
次に固有ベクトルに対応する振幅係数のクラスター分析により、出現度数の地理的分布に特徴のある年代を抽出したところ、1953-1959年、1963-1968年、1970-1973年の三つの年代が得られた。1953-59年は南シナ海や日本の南東の区域で出現度数が少なく、カロリン諸島付近で多い。1963-1968年は低緯度を除くと全般に出現度数が大きい。1970-1973年は出現度数が少ない区域が多いけれども、南シナ海ではこの解析期間では極大の年代となっている。