1986 年 37 巻 4 号 p. 271-280
伊豆大島における精密重力測定を1985年11月に、気象研究所の、LaCoste & Romberg D-109重力計を用いて行なった。測定点としては、1979年に国土地理院が設定した大島を一周する水準路線の中の水準点と、内陸部に設置されている東京大学地震研究所及び国土地理院の重力点の中から選んだ他、今回新しくいくつかの基準点を火口周辺に設けた。測定の精度は島を一周する周回路線で±10μgal程度、登山路線ではおよそ±20μgalと考えられる。島内の重力値は1979年以降、1983年の測定までほぼ一定か微減少の傾向であることがこれまでに報告されているが、今回の測定によってもこの傾向の続いている事が確認された。これは、伊豆大島三原山の活動が、この期間静かだった事と符号している。