1986 年 37 巻 4 号 p. 255-269
1978年から1983年末までの筑波と東京で採取した地表大気浮遊塵中の90Srと239+240Puの濃度について報告する。地表大気中の90Srと239+240Puは、春期極大と秋期極小からなる顕著な季節変化を示す。1981年の高濃度は、前年の中国核実験による成層圏フォールアウトの結果である。1982年には、大気中濃度の時間変動とともに、90Srと239+240Puを含む粒子の粒径分布の時間変動を調べた。その結果、春期極大をもたらすものは、小粒径 ( < 1.6μm) に含まれる放射性核種であることがわかった。成層圏フォールアウト以外の地表大気中の人工放射性核種の起源として、土壌表層に蓄積されている放射性核種のまいあがりの影響を評価した結果、239+240Puの場合、90Srに比べて、成層圏フォールアウトの寄与が低くなる近い将来には、その影響を無視できないことを明らかにした。