Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
日本海側沿岸部の大雪と高層風の関係
永田 雅
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1987 年 38 巻 1 号 p. 1-16

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抄録

 日本海側沿岸部の大雪に関連した特徴的な風の変化型を得るため、24年間の1月の3地点における高層風データに主成分分析を施し、得られた風の主成分固有ベクトルの時間変化する振幅係数と降雪の間の相関を、散布図と相関係数を用いて調べた。
 第1、第2成分の風は、全分散の54%を占めているが、主として大規模な変化を記述しており、これにつづく4つの成分は、総観規模の渦度場と鉛直シアーの他に、メソスケールの風の場を含んでいる。
 降雪は、主として日本海南部上の渦度を表現する第3成分と最も強い相関を持つ。これは、よく知られた日本海側沿岸部の大雪と対流圏中層の総観規模の寒冷渦との密接な関係に対応する。また、第4、第5、第6成分も北陸地方の降雪と強い相関を持つ。これら4つの成分が大雪に関連した特徴的な風の場を表わしている。
 秋山 (1981a, b) によって分類された新潟県における大雪の型のスコア散布図上での領域の分離は、第1、第2成分のスコア散布図上においてのみ見られ、他の成分では見られなかった。このことは、新潟県における大雪の型が主に大規模な風の場によって決まり、降雪量と相関を持つ比較的スケールの小さな風の変動によって決まっていないということを意味する。

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© 1987 気象庁気象研究所
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