1987 年 38 巻 2 号 p. 157-169
気象衛星「ひまわり」に搭載されている宇宙環境モニターは、1978年以後連続して、高エネルギー陽子、アルファ粒子、および電子を観測している。本報告においては、これらのデータの吟味をおこなった後、データに現れる現象についての解釈を行った。すなわち高エネルギー陽子およびアルファ粒子について太陽フレアと関連した粒子の増加の特徴を示した。さらに、太陽の高エネルギー粒子の放出量の長期的変動を示した。宇宙線強度の長期的変動を見つけることができることも示した。また、電子のデータによって、そのなかに現れる現象が地磁気活動、とくにサブストームと関連したものであり、粒子量の変動が地磁気活動の変動を良くあらわしていることを示した。以上に基づいて、「ひまわり」の観測結果と他の太陽活動の変動を示す諸量とを対比し、最近の太陽活動の傾向を明らかにした。