Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
南極昭和基地におけるオゾン全量と高層観測資料との関係
旭 満牧野 行雄佐々木 徹堤 之智
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1990 年 41 巻 1 号 p. 1-13

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抄録
 南極昭和基地における1982年から1987年までのオゾン全量と高層観測資料とを使用して、オゾン全量と標準等圧面高度、又はオゾン全量と標準等圧面気温との月毎の相関係数を算出して、その関係を統計的に調べた。各月の相関係数の図は1月と12月にはっきりとした特徴あるパターンを示し、それは3種、SY-10 (月)、ML-12 (月)、SY-12 (月) の型に分類された。SY-10型とSY-12型は昭和基地に特有な型で、ML-12型は中緯度の日本でみられる型である。ML-12型におけるオゾンの増大はトラフの通過に関連して起こる。しかし、SY-10型におけるオゾンの増大は、西風成分のみでなく南風成分にも関係し、又、突然昇温に関連し、リッジのようなエリアで起こると思われる。SY-12型のオゾンの増大は、まだ続いている西風成分と100mb付近での月初めにおけるML-12型より非常に低い温域とに関連しているようである。さらに、日付に対する30mbと100mbとの高度、及び、気温との回帰直線からSY-10型とSY-12型の起こる月には両等圧面に日毎の気温の上昇と30mb面で日毎の高度上昇がみられた。なお、オゾン全量が1日に60m atm-cm以上急増した日は、気温の急上昇と関係し、又、強い西風成分 (又は、南風成分) とも関連していることがわかった。
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© 1990 気象庁気象研究所
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