Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
3層の円筒から成る抵抗温度計の過渡応答
柴田 清孝
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1990 年 41 巻 2 号 p. 43-61

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抄録
 白金抵抗温度計は一階の微分方程式の系で記述されないという実験結果を説明するため抵抗温度計のモデルをつくり、その熱伝導方程式を解析的に解いて過渡応答を求めた。モデルは保護管・充填物質・抵抗線層の3層から成る無限長円筒と単純化されている。この結果を使って充填物質の物理特性の異なる種々のモデルについて過渡応答を評価した。主な結果は次の通りである。(1) 過渡応答はあるフーリエ数以降でC exp (-t/λ) と指数関数の単項式で近似できるが、係数C (>1) と指数λの2つのパラメータが必要である。(2) 応答速度はビオー数の小さいうちは内部構造の影響をほとんど受けないが、ビオー数が大きくなると充填物質の厚さ、熱的性質に敏感になってくる。(3) 充填物質が熱絶縁的である限り、保護管および抵抗線層の熱的性質は応答速度にほとんど影響を与えない。
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© 1990 気象庁気象研究所
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