Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
原著論文
大気大循環モデルMRI/JMA98と結合した全球対流圏エーロゾル化学輸送モデル MASINGAR
モデルの解説
田中 泰宙折戸 光太郎関山 剛柴田 清孝千葉 長田中 浩
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 53 巻 4 号 p. 119-138

詳細
抄録

 大気エーロゾルとその関連物質の分布の研究のために新たに開発された3次元エーロゾル化学輸送モデルModel of Aerosol Species IN the Global AtmospheRe (MASINGAR) の詳細を記す。MASINGARは大気大循環モデルMRI/JMA98と結合されたオンライン・モデルである。MASINGARは非海塩起源硫酸塩、炭素系、鉱物ダスト、海塩起源のエーロゾルを含み、移流、サブグリッドスケールの渦拡散と対流による輸送、地表面からの物質の放出、乾性・湿性沈着、化学反応を扱う。移流はセミ・ラグランジュ法によって計算される。積雲対流による鉛直輸送は荒川・シューバート法の積雲対流マスフラックスを基にしてパラメタライズされている。モデルの空間・時間解像度は可変であり、T42 (2.8°×2.8°)、鉛直30層 (0.8hPaまで)、で時間刻み20分での積分が標準的に扱われている。さらに、モデルは同化気象場データを用いるナッジング手法による4次元同化システムを内蔵し、これによって特定の期間の現実的なシミュレーションやエーロゾルの短期間の予報が可能となっている。2002年4月の鉱物ダストエーロゾルのシミュレーションから、MASINGARによって総観規模のエーロゾルのイベントが良くシミュレートできることが示唆されている。

著者関連情報
© 2003 気象庁気象研究所
前の記事
feedback
Top