Papers in Meteorology and Geophysics
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原著論文
異常変化検出のための長基線地電位への統計モデルの適用
高山 寛美
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2003 年 54 巻 1 号 p. 1-45

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抄録
地電位の異常変化の迅速な検出を目指して、地磁気変化による誘導成分を除去する2つの方法を試した。1つは多次元回帰モデルを用いる方法で、もう1つはBAYTAP-Gを用いる方法である。前者は地電位変化を過去、現在、未来の地磁気変化の線形結合として表し、誘導電位変化は地磁気変化とモデルパラメータのコンボリューションとして推定される。後者は地電位観測値を潮汐、電磁誘導、トレンド、不規則の4成分に分離する。これらの方法を、人工雑音が多いが異常な変化が見られた沼津グループの地電位変化に適用した。多次元回帰法は日変化と地電流嵐を見かけ上除去し、観測値では明瞭でなかった異常変化を明確にした。しかし、推定されたパラメータから得られる利得と位相は地下の比抵抗構造に関する情報をもたらさない。BAYTAP-Gは人工雑音による日変化を潮汐成分と誘導成分として分離し、異常変化はトレンドと不規則成分の中に明瞭に検出された。
BAYTAP-Gによって推定された地電位の潮汐成分と潮流および潮位との関係を調べた。地電位と潮流の同時期のデータが得られなかったので、その関係を明確にすることはできなかった。KSM-MTO (笠間-水戸) の地電位とOAR (大洗) の潮位のO1とM2成分の振幅の時間変化はコヒーレンシーが高いにもかかわらず相関は良くない。
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© 2003 気象庁気象研究所
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