マグマ溜りの膨張や収縮による地殻応力変化に伴って地表にどのような磁場が生じるかという問題は火山電磁気学の重要なテーマである。最も基本的な火山の地殻変動モデルである茂木モデルについては、ピエゾ磁気効果の解析解が与えられている。しかし火山では通常火山地形が存在するので、地形がピエゾ磁気効果に及ぼす影響を調べておく必要がある。この問題については三次元の数値計算が容易でないなどの理由からこれまでほとんど研究されてこなかった。筆者らは円錐形の火山地形をモデルに選定し、この地形がピエゾ磁気効果にどのような影響を及ぼすかについて調べた。計算にあたり、地殻応力の解析は有限要素法で行い、線形ピエゾ磁気効果よりピエゾ磁化を求めた。さらに、求めたピエゾ磁化を地殻全体で積分し、地表におけるピエゾ磁気効果を求めた。その結果、火山表面ではピエゾ磁気効果に占める地形効果の割合は場所によって50%にも達し、決して無視出来ない大きさであることがわかった。また火山の縁辺部においては応力集中により局所的なピエゾ磁気効果の異常が発生することがわかった。