気象庁(JMA)はメタン標準ガス検定装置の更新のために、レーザー光を用いた波長スキャンキャビティリングダウン分光法(WS-CRDS)を導入した新たな検定装置を気象研究所と共同で開発した。検定に用いるJMAの一次標準ガスは2組準備し、それらのメタン濃度は米国海洋大気庁において世界気象機関(WMO)のスケールで値付けされた。WS-CRDSを用いた新検定装置の性能試験を実施した結果、0.06 nmol mol−1の高い繰り返し測定精度(repeatability)を有し、検定の再現性(reproducibility)は 0.07 nmol mol−1と評価された。また、検定装置の高い直線性も確認された。新検定装置で得られる検定結果は、水素炎検出器を備えたガスクロマトグラフを用いた旧型検定装置と良い一致を示した。WMOの全球大気監視計画(GAW)の基で、JMAが過去10年間にアジア・南西太平洋地域を対象として実施してきた全球大気監視較正センター(WCC)の巡回比較実験の結果を調査した。その結果、JMA/WCC実験は、この地域のGAW観測所の大気測定に対するWMOスケールのトレーサビリティーを確認するために有効であり、新検定装置によりスケールをより正確に評価できることが検証された。