2023 年 71 巻 p. 13-23
南海トラフ地震の地殻変動監視のためには、スロースリップイベントを客観的および即時に検知することが重要である。大きな地震が発生した場合には、一般にその周辺で余効変動が観測されるが、余効変動によりスロースリップイベントによる変動が隠されてしまう場合がある。本研究では1996年に発生した日向灘の地震に伴う余効変動を補正することにより、1998~2001年に発生した日向灘南部のスロースリップイベントを検出した。すべりの中心は宮崎・鹿児島県沖にあり、規模はMw 6.7相当であった。また、GNSS日値の処理の中で2011年東北地震以降に短期的なばらつきが大きくなった原因を特定・改善し、東海から豊後水道までだった長期的スロースリップの客観検知領域を日向灘に拡張した。