抄録
新しいオゾンの観測所が1955年カシミール(34°N)に設立された.ここでは冬と春に二重圏界面がよくみられる.この論文では1957~58年インドのデリーとスリナガルおよび日本の館野で測定されたオゾン量が比較される,館野の緯度はスルナガルよりも2度しか高くないが,オゾンは館野がはるかに多い.以前の測定結果ではあるがスリナガルよりも低緯度にあるジカウエイやカイロでは冬に著しくオゾンが多かつた.だからオゾン量は測定する場所により大きな違いのあることが明らかである.ヒマラヤやインドのモンスーンはヒマラヤの南部のオゾン量を激減させるように働き,冷いシベリヤ高気圧の襲来はそれによつて中国や日本のオゾン量を増大させる傾向にあることは明らかである.1957年の北部インドにおけるオゾンの季節変化は異常であり,7~10月に見られる筈の極小値がなく,年間を通じてオゾン量は大きかつた.