Papers in Meteorology and Geophysics
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10 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 高橋 浩一郎
    1959 年 10 巻 2 号 p. 55-73
    発行日: 1959年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    太陽活動の変動が気象現象に及ぼす影響を主として平均500mb天気図により分析した.主な結果はつぎの如くである.
    (1) 10年平均の黒点数,台風,洪水,大雪などの回数の変化には平行性が認められる.
    (2) 月平均黒点数が増加すると2月ほどおくれて高緯度の月平均500mb高度が増加する.
    (3) 冬季館野の10kmの風速は,半旬黒点数が増加すると強くなる.
    (4) 半旬黒点の極大期と極小の時の500mb高度差を求め,平均の合成図をつくると,500mb高度は高緯度で減少し,太平洋北部,大西洋北部で増加する.
    (5)4.8月周期及び25日周期が太陽活動及び気象現象にあり,これを利用して太陽活動変動の影響を調べることが出来る.
    (6) 50度付近を境にし,高緯度と低緯度の500mb高度は逆位相で変化する.
    (7) 一般的にいつて太陽活動変動の示数としては,最近いわれているK-示数よりは,黒点の方が気象現象への影響の目安としては適当のようである.
    (8) これらの結果は,太陽活動が盛んになると南北混合が盛んになるという結論に通じている.
  • 小平 信彦
    1959 年 10 巻 2 号 p. 74-84
    発行日: 1959年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    多くの降水粒子からの反射波の合成値であるレーダエコーはその成分である雨滴の運動により,早い変動を示しており強度測定に於ける一つの不確定さの原因となつている.従つて映像信号を平均することにより正確な強度測定が可能である.本論文では対数特性受信機の出力を平均した場合,その平均値がRadar方程式より計算した値に対して平均するサムプルの数が十分大きい時は-2.5db,平均セない時一定レベルで切つた場合は+6dbの値となり,数個平均する場合はその数に従つてこれらの間の値をとることを示した.又水晶遅延回路を用いた平均装置及びその結果について簡単に説明した.
  • クルカルニ R.N., アングレイ P.D., ラマナサン K.R.
    1959 年 10 巻 2 号 p. 85-92
    発行日: 1959年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    新しいオゾンの観測所が1955年カシミール(34°N)に設立された.ここでは冬と春に二重圏界面がよくみられる.この論文では1957~58年インドのデリーとスリナガルおよび日本の館野で測定されたオゾン量が比較される,館野の緯度はスルナガルよりも2度しか高くないが,オゾンは館野がはるかに多い.以前の測定結果ではあるがスリナガルよりも低緯度にあるジカウエイやカイロでは冬に著しくオゾンが多かつた.だからオゾン量は測定する場所により大きな違いのあることが明らかである.ヒマラヤやインドのモンスーンはヒマラヤの南部のオゾン量を激減させるように働き,冷いシベリヤ高気圧の襲来はそれによつて中国や日本のオゾン量を増大させる傾向にあることは明らかである.1957年の北部インドにおけるオゾンの季節変化は異常であり,7~10月に見られる筈の極小値がなく,年間を通じてオゾン量は大きかつた.
  • 石川 業六
    1959 年 10 巻 2 号 p. 93-123
    発行日: 1959年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    微粒子輻射が地球大気に入射した場合の熱発生を論ずる.大気構成原子と微粒子輻射との衝突による電離,励起に関する基礎過程をまず定式化し,粒子当り20keV~数MeV程度のエネルギーを持つ入射粒子についての,エネルギー損失,熱発生,エネルギー分散等を算出した.大気の構成についてはL.E. MILLERのモデルを用い,微粒子輻射強度及びそのエネルギースペクトルについては最近のロケツト観測結果を用いた.微粒子輻射による熱発生はそのエネルギー損失の約60%程度が第1次の熱発生として有効であり,残余は光子の再輻射等の2次的過程として論ぜられるべきである.従来の微粒子輻射強度が>104erg/cm2/secという値は過大評価であり,中等度の極光生起時に於いても 数~数10erg/cm2/sec程度の入射強度と考えられる.しかしこの場合でも極光帯附近での発熱量は大きく,またその垂直方向の分布は,入射粒子のエネルギースペクトルに著しく左右される.ロケツト観測や宇宙線観測から推定される太陽微粒子輻射のエネルギースペクトルは一定しておらず,ここでは6種類のエネルギースペクトルを仮定して,その各々の場合についての熱発生を70km以上の大気について計算した.計算結果は将来一次輻射の観測がより正確に得られた場合有効に用いられるように,各種のパラメータについて図表が作られている.
  • 南日 俊夫
    1959 年 10 巻 2 号 p. 124-134
    発行日: 1959年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    南日-岩宮によつて流向・流速及び各測定深度を2枚の煤ぬりガラスに自記する新流速計が完成された.その外観及び内部を第1図に,その記録例を第2図に示す.数度の観測によつて得られた結果(第5,第6図)から,外海に於いても川や浅海でみられるように,海流系の厚さの1/3~1/4の浅い層に極大値を持つ海流の鉛直分布がみられる.これを表層及び底層からのシヤーストレスと海流速度傾度の釣合として考えてみると,うず粘性の大きさが海流の厚さに比例するとすれば,表層及び底層のシヤーストレスはそれぞれ0.4及び1.Oc.g.s.となる.これらは他の方法で今迄求められている値とよく一致する.
  • 末広 重二
    1959 年 10 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 1959年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    地震のマグニチユードは元来水平動振巾に基いて定められたものである.しかし,筆者は前に伊豆沖地震の余震を調べたときには,高倍率の地震計は上下動しかなかつたので,これによつて余震のマグニチユードを定めた.ただしマグニチユードによつて水平動の上下動に対する振巾比は変らないという仮定を設けてあつた.
    昭和33年2月より松代地震観測所にベニオフ地震計三成分が設置されてから,余震群が二つと頻発地震群が一つ観測されたので,これらを調べて,前記の仮定が正しいかどうかを検討した.
    すなわち,同一地震群に関する限り振巾比は変らない.つまり上下動振巾を用いてこの仮定を基にしてマグニチユードを決めても,M2.5より6.5位の範囲では補正を加える必要はない.しかし振巾比の平均値は近地々震では2.8,中距離では1.3と出ているので,震央距離や発震機巧によつては比の絶体値は変化すると考えられる.
    余震群の調査をする場合,主震のマグニチユードは大抵各機関によつて慎重に決定されるから,余震のマグニチユードはそれを基にして決定しうる.この時上下動振巾を用いてもよろしいということができるわけである.
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