Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
黒潮の長周期変動
南日 俊夫
著者情報
ジャーナル フリー

1960 年 11 巻 2-4 号 p. 339-347

詳細
抄録
黒潮流軸の平均状態はきれいな正弦曲線を示し その波長はほぼ1000kmである これは琉球及び伊豆両諸島間の距離に相当し これらの海底山脈を越える所で流軸の位置の標準偏差は小さい 即ち黒潮は恰かも両画脈上で位置を固定され進行左側を本州で制限された正弦曲線を示し その波は進行もしなければ出と谷がその位置を入換もしない 伊豆諸島を通り抜けた後は 144°E, 36.6°N迄北上して日本本土を離れながらやはり1000km 程度の波長で蛇行する
遠州灘で五年前後の周期で流速が弱まる時に蛇行の谷の位置の振幅が大きくなる 即ち冷水塊が成長するこの程度の周期は北太平洋の風ののストレスによる西岸の質量輸送にも見られる周期である 但し両者の周期は一致しない
又流軸の位置の統計より乱流拡散係数は107~108cm2sec-1でその取扱った現象の規模より妥当な値と考えられる
併し黒潮の流路について これらの任意の位置の間に相関が認められないので統計的な予報は不可能である
著者関連情報
© 気象庁気象研究所
前の記事 次の記事
feedback
Top