大気中の水蒸気量を測定する方法について電子管式露点計 毛髪湿度計 電気湿度計を吟昧した
初めに 今迄に研究されてきた各種の湿度計の分類を行い この分類をもとにして 個別に その長所と短所とを列挙し総合的に批判を行い 特に低温度に於ける計測を容易に可能にするものとして 光電管式露点計毛髪湿度計電気湿度計があげられることを示した
光電管式露点計においては 気象及び鉱工業方面において 使用に適した所の1ケの光電管を露点鏡面上の露の検出器として用いた簡便な測定方式についてその動作特性設計基準について述べたREGNAULT以来踏襲されてきた動作原理に批判を行い動作特性及び測定精度に悪影響をもつ所の塵埃の沈着露から霜への相転移に就いては顕微鏡を併用して動作中の光電管式露点計の露点鏡面上の露の観察を行い この防除の一方法として沃化銀粒子を含んだシリコンワックスを鏡面上に塗布するのが良いことを見出した 測定精度については 硫酸水溶液の平衡蒸気圧との比較 更に通風式乾湿球湿度計
毛髪湿度計との比較がなされ 相対湿度にして±1%以内の確度があることを示した なおこの方式の応用として ラジオゾンデ用の露点計と 地上用としての熱電冷却式露点計について略述した 毛髪湿度計については感湿要素の毛髪の動作特性 特に個有な好ましくない動作特性-履歴効果 低温及び低湿における応答に要する時間の増大 高湿度における感度の低下等一のよってくる原因とその除去について 種々試みられた方法 処置を示した 毛髪の表面及び断面構造の電子顕微鏡及び光学顕微鏡の観察を参考にしながら ゲールザックスケールと吸出量との関係更に各種の処理 (圧延による機械的処理化学処理(硫酸硫化バリウム等))を受けた毛髪の特性を従来の毛髪との比較を行いながら温度係数 おくれ経日変化 毛の種別の違いによる特性の差等について吟味され 特に 硫化バリウムを受けた毛髪を更に圧延しこれに硫酸処理を加えたものが 最も動作特性がよく 相対湿度にして±2%の測定精度を維持することを示した この応用として 一定荷重の張力下に常に維持される遠隔自記毛髪湿度計を示した 測定精度の吟味は 従来用いられて来た毛髪湿度計 米国式電気湿度計 露点湿度計との比較を行い 高湿度における測定には 電気湿度計に比し優っていることが見出された
電気湿度計においては 電解質式(塩化リチウム)電気湿度計 炭素皮膜電気湿度計について その製作 動作特性について詳述した各種の試作された感湿膜(ポリ醋酸ヴィニール膜部分鹸化されたポリ醋酸ヴィニール膜 ポリヴィニールアルコール膜 更にこれに黒鉛粉末を混入したもの)の湿度電気抵抗特性 経時変化 おくれ 温度係数及び分極現象について行った実験結果を示し 経時変化の除去については 醋酸ヴィニール膜を用いた場合には 加熱処理を ポリヴイニールアルコール膜にあっては黒鉛粒子の混入と 用いられる表面活性剤の吟味により 僅少にすることができ 高湿度において現われる感湿膜の流動現象をも一応阻止できることを示した
これらの結果は 試作された炭素皮膜電気湿度計の動作特性と比較参考しながら吟味された 測定精度の吟昧は通風乾湿計 毛髪湿度計 露点湿度計と霧中及び乾燥した状態において行われ相対湿度±2%以内にあることが認められた これらの湿度計の動作特性測定精度 許用限界に関する結論は 価別に各章の末屡に要約して示し併せて将来解決されるべき問題点をも提起した これらは附表において総合的に集約されている
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