Papers in Meteorology and Geophysics
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インド-赤道太平洋領域の降雨量と南半球中・低緯度大循環の年々変動
土屋 巌
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1970 年 21 巻 2 号 p. 73-87

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抄録
いわゆる赤道太平洋乾燥帯における降雨は,約12,000kmにも及ぶ長大な帯状領域の全域にわたって,年々の変動が特異であることで知られている.
筆者は,ドイツ海洋気象台発行のDie Witterung in Übersee(1953- )に示された毎年の世界降雨分布とその偏差図を調査して,前記乾燥帯で年雨量が極端に多い年には,ニューギニアから西にかけてインドに至る領域で広域の年雨量減少の発現することを見いだした.そのような年は1957,1958,1965および1966である.また,乾燥帯でより少なく,インド周辺でより多いというような年として,1955, 1956および1962があげられる.
インドの洪水・干ばつの資料および乾燥帯のOcean島とFanning島の永年降雨資料を調べると,前述のようなインド-赤道太平洋領域間の逆位相の降雨変動が,さらに過去にさかのぼっても存在したことがわかる.
このように特異な広域雨量変動の発生には,南東貿易風の変動が介在するが,同時に南半球中緯度偏西風の変動も考慮されるべきである.偏西風の年々変動はかなり大きく,弱い年には冬(7月)でも夏(1月)より弱いことがある.その顕著な例としては1957および1958の場合がある.
WALKER(1924)の提唱したsoutheron oscillation は, BJERKNES(1969)によってWalker circuIationという東西方向の循環モデルに発展したが,南半球偏西風の変動をこのモデルの吟味に加えることが可能である.
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© 気象庁気象研究所
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