自然大気中に沃素のVaperを加えた時活性化する核,すなわち潜在的氷晶核は,-8°Cの様な高い温度でも有効であることが観測された.
これらの核の濃度の温度スペクトルを自然氷晶核の場合と比較すると,作用温度の下降とともに核濃度は指数関数的に増加する点ではよい一致を示したが,そのカーブは自然氷晶核に比べて急であった. 潜在的氷晶核の大きさは,電子顕微鏡を用いて調べた結果,個体粒子とすれば10分の数ミクロン又はそれ以下であることがわかった.
Mixing typeのcold chamberを用いての方法と, millipore filterを用いたfilter法と,二つの方法についてみると,filter法は比較観測には便利であるが,-12°C以下の温度では潜在的氷晶核の測定には誤差を考慮しなくてはならないと思われる.また二つの測定法による核数を比較するとfi1ter法の方がmixing chamberによる場合の値より一桁少かった.
濃度変化の傾向をみるために,東京と軽井沢で観測を行った.その結果,東京でも軽井沢でも高い日も低い日もあり,また日による変化は非常にはげしく,時間的変化も激しいことがわかった.