Papers in Meteorology and Geophysics
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レーダー等雨量線指示装置
青椰 二郎
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1959 年 9 巻 3-4 号 p. 152-162

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抄録

この論文ではPPI又はRHI scopeに等雨量線を画かせるための装置について述べる。この目的のために雨域からのレーダー反射波信号に距離の補正・大気減衰の補正・途中の降雨により受ける減衰の補正及び降雨の種類によつて反射波の影響を及ぼす2つのfactor B,β の補正が同時に行われる。この補正された雨量信号は,装置であらかじめ選定された1つの雨量leve1だけをscopeに表示する。
雨量信号は対数特性であらわされているので雨量levelは2倍(約5dB)ごとに選ぶのが適切であり,そのlevelは0.3,0.5,1,2,4,8,16,32,64及び128mm/hrの10段階である。且つその対数特性の直線範囲は60dBに及ぶことが出来るので広い範囲の雨量測定が可能であり,電源の安定化,真空管回路の負遺還に特に留意したので信頼すべき雨量の測定精度が得られる。
levelの選定はレーダーアンテナと同期しているので自動的に一連の雨量levelのpatternが順次に35mmカメラに撮影される。しかし効果的な撮影を行うために不必要な雨量levelの飛越走査も可能である。
この装置を3.2cm波レーダーに併用して雨量の観測を行つた。雨域からの反射波はその性質上非常に変動しているので,そのiso pattern は必ずしも等雨量線でなく幅をもつたものであるがその外側は常に定められた雨量をしめしている。ζの等雨量線のもつ幅又は等雨量線間隔の大小は多くの気象的情報をあたえ得るだろう。しかし量的測定について考えればその変動をなくするために20回程度の信号の平均化が必要でありその装置は近い将来とりつけられる筈である。
地雨性降雨についての地上雨量との比較例が示めされるが良い対応性を示めしている。減衰の補正がほどこされているとは云えこの項の及ぼす測定誤差はもつとも大きいものの1つである。このため5.7cm又は10cm波レーダーは量的測定にもつと有用であるが3.2cm波レーダーと云えどもこの装置の付加によつてscope meteorologyに一層の貢献を及ぼすだろう。

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© 気象庁気象研究所
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