Papers in Meteorology and Geophysics
Online ISSN : 1880-6643
Print ISSN : 0031-126X
ISSN-L : 0031-126X
9 巻, 3-4 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 荒川 秀俊
    1959 年9 巻3-4 号 p. 123-126
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    台風が東北東にむかい関東附近の沖合を進むとき,関東附近を通りすぎた途端に,北にむきをかえて進むことが多い。アメリカのハリケーンも,ハツテラス岬で陸地にそつて海上を進むことがある。かかる熱帯低気圧の移動に対する海岸線の影響を簡単に力学的な説明をしてみた。
  • 荒川 秀俊
    1959 年9 巻3-4 号 p. 127-130
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    夜光雲の出現が多かつた年代(1880年代,1900年代,1930年代,1950年代)には全世界的に日射の強さが減少していたこと,火山の大爆発のあとであつたこと,世界の気温が全体として低く,北日本の稲作に凶冷が起ったことなどを示し,夜光雲が塵を主体として成立つているらしいという間接的証明を試みた。
  • 藤田 敏夫
    1959 年9 巻3-4 号 p. 131-140
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    一般流の時間的変動の性質を最近の二冬について調べた。最近,一般流を数値的に予報しようとする試みがあるが,一カ月程度の予報となると,なお困難である。ここでは時間的変動の中でも長周期変動を対象とするために,5日平均のデータを用いた。季節変動からの偏差のイソプレツトを調べると,両年とも,特に1956~1957年の冬は,“Southerly trend” が明瞭に現われている。一例として1957年の1月中の顕著なtrendの際の気圧配置の変化を,流れの場を参照しながら考察すると,一月中旬に太平洋と大西洋にプロツク高気圧が出現し,極東とヨーロツパで偏西風の最強軸が南下している。このようにして,southerly trendが起つていることが,他の場合にも認められた。これらの関係は緯度間の相互相関係数の分布にも認められる。すなわち,ある緯度における一般流に対して,一単位前の高緯度の一般流は常に正の相関を持ち,低緯度とは常に負の相関を持つことが示される。
    次に,各緯度における一般流の周期性をスペクトル密度函数で推定したところ,中緯度では約25日位の周期が現われ,高低緯度ではそれよりいくらか長い周期が認められる。一方P.D.THOMPSONは一般流の変動の本質的性質が所謂電信方程式で表わされ,波動解を持つことを発表している。われわれの場合は長周期を対象としているから,大規模な擾乱から期待される一般流の周期を求めればよい。こうして求めた周期の平均はSpectrurnから推定された値とよく一致している。かくして,従来のようにペリオドグラムから推定した周期は永続的周期と理解すべきではなくて,ν2によつてその長さが時間と共に変化する輪廻的な周期と理解すべきことが分った。
  • 藤原 美幸
    1959 年9 巻3-4 号 p. 141-151
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1957年7月九州でおこつた梅雨前線附近の豪雨の際に観測された驟雨の雨量自記紙から対流セルの通過時の降雨強度分布を求めてみた。PPI-Scope上にあらわれた孤立エコーによる降雨分布に際雨の一つのこの基本的な分布の集合,変形であるとみなされる。この分布は
    I=ne-mt,
    で表わされる。但しA,n,mは常数で夫々0.075,0.86,3.5であつた。変形I及びτはそれぞれ降雨強度及び時間を表わす無次元量で次の如く個々のセルの固有の値,R,t0によってnormalizeした値である。即ち
    I=強度/R, τ=時刻/t0
    但しRは1つのセルの通過中に降つた総雨量でt0は強度が最大の1/10にまで減少したときの降りはじめからの時間である。これから若し対流セルが,一点を通過する間ほぼ一定の強さに保たれていると仮定すれば中心がかなり前方に偏つたcontourをもつていることがわかる。
  • 青椰 二郎
    1959 年9 巻3-4 号 p. 152-162
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    この論文ではPPI又はRHI scopeに等雨量線を画かせるための装置について述べる。この目的のために雨域からのレーダー反射波信号に距離の補正・大気減衰の補正・途中の降雨により受ける減衰の補正及び降雨の種類によつて反射波の影響を及ぼす2つのfactor B,β の補正が同時に行われる。この補正された雨量信号は,装置であらかじめ選定された1つの雨量leve1だけをscopeに表示する。
    雨量信号は対数特性であらわされているので雨量levelは2倍(約5dB)ごとに選ぶのが適切であり,そのlevelは0.3,0.5,1,2,4,8,16,32,64及び128mm/hrの10段階である。且つその対数特性の直線範囲は60dBに及ぶことが出来るので広い範囲の雨量測定が可能であり,電源の安定化,真空管回路の負遺還に特に留意したので信頼すべき雨量の測定精度が得られる。
    levelの選定はレーダーアンテナと同期しているので自動的に一連の雨量levelのpatternが順次に35mmカメラに撮影される。しかし効果的な撮影を行うために不必要な雨量levelの飛越走査も可能である。
    この装置を3.2cm波レーダーに併用して雨量の観測を行つた。雨域からの反射波はその性質上非常に変動しているので,そのiso pattern は必ずしも等雨量線でなく幅をもつたものであるがその外側は常に定められた雨量をしめしている。ζの等雨量線のもつ幅又は等雨量線間隔の大小は多くの気象的情報をあたえ得るだろう。しかし量的測定について考えればその変動をなくするために20回程度の信号の平均化が必要でありその装置は近い将来とりつけられる筈である。
    地雨性降雨についての地上雨量との比較例が示めされるが良い対応性を示めしている。減衰の補正がほどこされているとは云えこの項の及ぼす測定誤差はもつとも大きいものの1つである。このため5.7cm又は10cm波レーダーは量的測定にもつと有用であるが3.2cm波レーダーと云えどもこの装置の付加によつてscope meteorologyに一層の貢献を及ぼすだろう。
  • 嘉納 宗靖
    1959 年9 巻3-4 号 p. 163-171
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    種々の混濁度をもつ混濁大気中における赤外部(8000Å)の天空光の角度分布を一次散乱を基として計算した。計算は大気中のaerosol particleの粒度分布を考慮に入れた一種の階段型分布を用いて,太陽を含む垂直面内の天空光の角度分布とscattering functionとについて行つた。結果は次の通りである。
    太陽の極く近傍(太陽からの角距離<5°)では天空光の強度は著しく強く,そこでは大きな粒子(α=2πα/λ>8)が天空光の強さにおもに寄与し,近接領域(5°~20°)では中程度の大いさの粒子(4<α ≦8)がおもに役割を演じ更に中間領域(20° ~60°)および遠隔領域(>60°)ではそれぞれ小さな粒子(α ≦4)および空気分子が天空光の分布におもに寄与する。各粒子の寄与する範囲は混濁度によつて違い,混濁度が大きくなるにつれて粒子の寄与する範囲は大きくなり,従つて空気分子のそれは小さくなる。又Anthonyの山上(5415ft.)での結果と比較するために,種々の混濁度に対する(地上での混濁度が2.33,4.66,および6.99の場合に対応する),scattering functionを計算した。その結果,混濁度の大きい程scattering functionの勾配は大きく,計算したものの中では,混濁度の大きい場合のscattering functionがANTHONYの結果と比較酌一致しているが,この一致も中間領域ではよくない。これは多分ANTHONYの場合の粒子の粒度分布が混濁大気の平均状態のそれと異つていることから生じていると思われる。
  • 三宅 泰雄, 猿橋 勝子, 葛城 幸雄
    1959 年9 巻3-4 号 p. 172-176
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1958年なかばまでの,東京におけるSr-90の蓄積量は11.3mc/km2に達した。Sr-90の落下量は,降雨量と+0.69の正の相関関係をもつているが,MACHTAらが示したような春先の極大はない。
    落下物の将来における推定値は,たとえ核実験をいますぐやめたとしても,50mc/km2になるであろう。落下物の平均年令は,Sr-89とSr-90の比から200日から300日であることが計算された。
    成層圏における大気オゾンとSr-90の相関についても検討された。地表面への放射性物質の蓄積は,大規模な擾乱運動とともに,成層圏へSr-90が注入される場所と季節によって影響されることを結論した。
  • 井上 宇胤
    1959 年9 巻3-4 号 p. 177-192
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    日本の地震観測の資料から深発地震の規模を求めるという試みは,既に和達,本多,広野,岩井,勝又によってなされている。
    然し,地球上層の地震波の速度分布,波動の減衰係数の分布などが十分分つていないばかりでなく,波動減衰の機構も明確でない。また,地震動に対する地盤補正も,深発地震では異常震域を伴うので当然浅発地震の場合とは異なる筈である。
    なお,発震機構によつて実体波の振幅の方位差も考えられるので,蛇足のようであるが,この問題を取扱つてみた。
    主な結果は次のようなものである。
    (1)NORMAN RICKERの連波説によつて計算したlogA/T-Δ 曲線は観測値と比較的よく一致する。
    (2) M≦7の場合は
    0.63M=logA0/T0+α(H)
    によつて,
    M>7の場合は
    {0.63+0.08(logA0/T0+α(H)-4.4)}M=logA0/T0+α(H)によつて深発地震のMが求められる、但し,α(H)は深さによつて異なる常数であつて,α(H)=2.5logT0-2.8によつて与えられる。此処に,A0/T0は震央におけるA/Tの値であり,T0は震央におけるS相の走時である。
    (3)深発地震に対する地盤補正は浅発地震に対するものと著しく異なつている。
    (4)観測されるlogA/Tは震源における方位に関係があり,断層面に直角の方向に大きくなつているようである。
    (5)Mを求めるときの基本となる
    logA0/T0∞0.63Mという関係は,坂井の半無限弾性体の内部に震源のある場合の波動理論によつて説明される。
    然し,最も大事な地球上層の地震波の速度分布および波動の減衰係数の分布は将来の問題として残されている。
  • 1点における余震観測の1例
    末広 重二
    1959 年9 巻3-4 号 p. 193-202
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    1956年8月13日の伊豆沖地震(M=6.5)の余震が松代において多数観測された。PS時間および記象から余震と思われるもの162個(8月中)をえらび出した。ウツドアンダーソン標準振り地震計で記録されたものは直ちにMが決定できるが,大部分は高倍率の上下動電磁地震計で記録されたので,この地震計の記録振幅よりMを決定する方法を導き出した。
    すべでの余震のMを決定した上で,Mの分布,時間と共に余震によつて放出されたエネルギーを図示した。ある程度余震域から離れた1地点における観測でも,余震の大体の有様は調べられるという1例である。
  • 昭和新山(有珠火山)の生成に伴つて発現した,地震群に於ける各種地震波の特性と火山活動機構の研究
    木沢 綏
    1959 年9 巻3-4 号 p. 204-239
    発行日: 1959/03/30
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    火山学史上世界的に著名な昭和新山の生成には,3つの著しい地震群が発生した。第1報にこれ等の諸性質を明らかにした。筆者は今回昭和新山を取囲む3観測所,札幌(Δ=69km),森(Δ=54km),室蘭(Δ=25km)で観測された地震波動の性質を詳細に究明し,火山活動の予知及び活動機構を解明する手懸りを得る目的で,第1報に引続いて研究を行つた。得られた主な結果は次の通りである。
    (I) 噴火に先行して発現したA-型地震群(1943Dec.-1944Apr.)の振幅は,大小様様の大きさで起つている。そして噴火に近づくとその振幅は,exponentiallyに減少して来る。然るに,噴火終了直前から発生してその後1ケ年間継続した,Lava Domeの成長に伴う地震群(B-型と名付く)の振幅は,前者に比べて可なり小さく,しかも全期間を通じて殆んど同じ大きさで起つていた。これ等の事実は両地震群の震源の深さの違いに起因する事を示して注目に値する。
    (II)水平動両成分の最大振幅のratio(AN/AE)のをとると,A-型地震群はAN/AE>1となり,B-型地震群は逆にAN/AE<1となつて明確な対照を示した。即ちここにも両地震群の震源の深さ,及び発震機構に,著しい相異のある事が見事に示された。
    (III)活動の初期(1944 1月)A-型地震群の中の主な10個の地震にはP波の初動が明瞭に現れた。それ等は,札幌と森が押しで室蘭が引き波に現れた。現地に於ける震源の移動と比較して注目すべき結果が得られた。
    (IV)群速度の著しく遅い明瞭な2つの相が,森測候所(Δ=54km)に顕著に現れた。そしてそれはB-型地震群に,特に,両相共鮮明である。仮に,これ等を3相,4相と名付けると,3相の速度は,1km/sec足らずで出現し,4相は約340 meter/secで始り,その後に一定周期の波が続く。
    この度,発見されたこれ等の明瞭な2つの相はそれぞれAiry phase及びAir-coupled Rayleighwaveと考えられる要因が非常に強い。若しそうだとすれば, Airy phaseとAir-coupled Rayleighwaveが同一地震に出現した事となる。この事実は,今日まで世界中殆んど例がない。
    この稀有な現象が起つたのは,震源の深さ,海の深さ,海底の条件,(森測候所のpathは海である)層の数の問題, 及び発震機構等の条件に起因する為と考えられるから,更に今後これらの研究を進めねばならない。併し,このうち震源の深さと,発震機構の問題は特に,これ等2つの相と密接な関係を持っと考えられるので,火山活動の原因を究明する上に重要な,手懸りを与えるに違いない。
    Air-coupled waveについて:-
    大気と海とは2つの媒質のdensity constantの違いが,非常に大きいので,両者のcouling等考えるさえ誠に驚くべき事柄である。
    この問題の発端は,1883年有名なKrakatoaの大爆発の際に,世界中いくつかの地点で,観測されたair wave arrivalとtidal disturbance waveの到着時の一致と云う点から始まる。
    この現象に,M. EWINGとF. PRESS等が着目して, Air-coupled waveの構想を1950年よりこの方,一連の理論や実験により打ち建てたものである。今回このphaseの存在を独自に自然現象の中に発見したわけである。
    (V) 3相,4相の振幅比が,時と共に変化する状態から見ると,A-型地震群の震源は,噴火に近づくと浅くなつて行き,B-型地震群は噴火から遠ざかると震源が深くなつて行く傾向のある事を知つた。この深さが問題である。
  • 藤原 美幸
    1959 年9 巻3-4 号 p. 240-243
    発行日: 1959年
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    雨滴の粒径分布を連続的に自動的に測定するためこれまでマイクロフオンを利用した装置と濾紙法による記録器を作つたが,マイクロフオン装置は本質的に重要な欠点をもつていることがわかつた。これはオーストラリヤのB.F.COOPERが雨滴ゾンデに用いた原理を踏襲したものであるが,濾波器, S.G.などを併用して性能の向上をはかつたが, 周囲の騒音を拾うのを避けることができなかった。
    一方の濾紙法によるものは記録の読取,整理を自動的に行うことができない欠点があるが, 記録そのものは比較的容易に行うことができる。しかし強い雨を長時間自動的によい記録をとることは技術的に種種の困難を伴う。今回過去の経験から割り出した一つの試作をテストしたところ台風前の27mm/hの強驟雨も安全に記録することができた。
feedback
Top