日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第52回大会
セッションID: P014
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ポスター発表
今日の浴室のカビ汚染の特徴
*濱田 信夫
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抄録
 綿棒によるふき取り法によって、浴室内のカビ汚染やそれに伴う汚れを調査した。浴室のカビは、菌糸が暗色のものが多く、汚れとカビの胞子数と明瞭な相関が見られた。とりわけ、優占しているExophialaが汚れの大きな原因になっていることが分かった。 今回の調査によって、ScolecobasidiumCladophialophoraなどの生長の遅い暗色の珍しいカビが見つかった。とりわけ、床などの浴室の下部では、ExophialaPhomaScolecobasidiumCladophialophoraが多く見られた。これらは、いずれもシャンプーや石鹸成分を栄養とするカビで、洗濯機でもよく見られるものである。一方、天井などの上部では、CladosporiumAureobasidiumAcremoniumが多かった。これらは野外などでもよく見られるカビで、浴室では、石鹸やシャンプーではなく、湯気とともに天井や壁に付着した皮脂などを栄養とすることが知られている。その他に、浴室で使用する道具では、オモチャや座イスにもカビ汚染が多く見られた。それらの表面で生育しているのは、やはりシャンプーなどを栄養にする暗色のカビが多かった。浴室のカビ相を特徴づけているのは、栄養源としての界面活性剤といえよう。 浴室のカビ汚染を予防するには、湿気を取り除くほかに、その栄養を除去することが大切だ。換気扇などを利用することで、皮脂などは湯気とともに外部に追い出し、付着したシャンプーや石鹸の泡は、入浴後お湯でよく洗い流したい。
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© 2008 日本菌学会
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