日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C31
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ウスヒラタケ (Pleurotus pulmonarius)胞子欠損性変異関連領域のマップベースクローニング
*奥田 康仁村上 重幸松本 晃幸
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抄録
食用きのこ栽培において,子実体から放出される大量の胞子は栽培従事者の健康被害や施設の汚染などの原因となる.この有効な解決策のひとつとして2,3のきのこ種では突然変異育種による胞子欠損性変異 (sporeless)株が利用されている.しかしながら,突然変異育種は多大な時間と労力を要することから効率的なsporeless株の育種法の開発が期待されている.また胞子形成に関与する遺伝子についてはこれまでウシグソヒトヨタケにおける減数分裂やDNA修復に関わる遺伝子が解析されているが食用栽培きのこにおいては未だ特定例はない.そのため,我々はこれまでに単一の劣性変異によるウスヒラタケ (Pleurotus pulmonarius)のsporeless株 (TMIC-30058)と野生株TMIC-31664の単胞子分離株を親株としてAFLPマーカーに基づく遺伝連鎖地図を作製し,sporeless関連領域の座乗部位を推定した.さらにsporeless関連領域と密接に連鎖する (0-3.4 cM以内)AFLPマーカーをSTS (Sequence Tagged Sites)化することで2種類のsporeless検出用STSマーカーを開発した.
 本研究ではこれまでに構築した遺伝連鎖地図の精度の確認とsporeless関連領域の特定を目的に遺伝連鎖地図作製に用いたTMIC-31664由来の親株を材料としてフォスミドライブラリーを構築し,STS化に成功したマーカー配列をプローブとしてスクリーニングを行った.結果として4個のポジティブクローンが得られ,それらクローンはそれぞれ約37-43 kbの内部配列を有しており,アラインメントによりそれらが約67 kbを網羅していた.またTMIC-31664親株を由来とし,sporeless領域から0 cMに位置することが推定されている6AFLPマーカーのうち5個がクローンの内部配列の18-45 kb間に存在していた.このように遺伝連鎖地図上で0 cM以内にマッピングされたマーカーの多くが約30 kb間に集中している結果はこれまでに構築したAFLPマーカーに基づく遺伝連鎖地図の信頼性を支持するものであるといえる.現在,sporeless関連領域についてさらに詳細な解析を継続している.
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© 2009 日本菌学会
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