日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: A21
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生ゴミ処理機の基材に用いるスギオガ屑の変色原因
*金子 繁西田 正幸
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抄録
 家庭用生ゴミ処理機による生ゴミ分解の基材として用いるために販売されている,袋入りスギオガ屑が,袋内で変色を起こしているため,購入者が原因を気にして問題となった.スギオガ屑は,間伐材の有効利用という観点,さらにオガ屑は表面積が大きく,多孔性であり,保水性,通気性が良いことなどで,優秀なバイオリアクターとして,生ゴミの分解に利用することが図られてきた.オガ屑の変色は和歌山県内のスギ間伐材を利用した「バイオウグラン」と呼ばれる販売用オガ屑で起こった.変色は,オガ屑を入れたビニール袋内面に接したオガ片を中心に散在的に見られ,変色部表面を観察した結果,オガ屑の表面にかびなどが生育しているのではなく,個々のオガ片が青褐色に内部から変色していることが明らかになった.変色オガ屑片からの分離試験で,Ophiostoma piceaeが高い頻度で分離され,非変色オガ屑片からも同菌が低頻度で分離された.スギオガ屑が作製されたスギと同地域に生育していたスギ丸太(伐倒後1ヶ月,2ヶ月,6ヶ月)の樹皮部,辺材部,心材部からの分離試験では,O. piceaeは分離されなかった.しかし,同様のスギ丸太からオガ屑を作製したオガ片からは,伐倒後1ヶ月,2ヶ月,6ヶ月のオガ屑から,それぞれ24%,20%,1%の分離頻度でO. piceaeが分離された.さらに,未変色のオガ屑をビニール袋に詰め,25℃,および室温に置いた結果,1ヶ月後に伐倒後1ヶ月および2ヶ月のスギ丸太から作製したオガ屑において,ビニール袋の内面に接した部分で変色が確認され,発生頻度は伐倒後1ヶ月の丸太からのオガ屑の方が高かった.変色オガ片からは高い頻度でO. piceaeが分離された.以上から,生ゴミ処理機の基材に用いるスギオガ屑の変色にはO. piceaeが関与することが示唆された.
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© 2009 日本菌学会
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