日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: A20
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植物感染時におけるイネいもち病菌細胞壁成分の局在の変動について(2)
*久我 ゆかり藤川 貴史西村 麻里江
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抄録
生きている宿主細胞中に侵入し共存が成立する糸状菌病において,宿主による病原菌の認識機構と病原性との関係を解明することは重要である.近年ヒトの感染症において宿主細胞中酵母型細胞の細胞壁で新規に生成されるα-1,3-グルカン(αGlu)がβ-1,3-グルカン(βGlu)の外側に多く位置し,宿主による病原菌認識機構を抑制することが報告されている.イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)の分生胞子は葉面で発芽して発芽管を伸ばし,付着器を形成した後表皮細胞に侵入し,宿主細胞中で生育・蔓延する.感染成立における病原菌細胞壁の役割を検討するためイネ葉鞘に接種したイネいもち病菌の細胞壁成分を免疫蛍光抗体法により検討したところ,αGluおよびβGluの存在が確認されたため、本研究では両細胞壁成分の局在を免疫電顕法により検討した.接種48時間後のイネ葉片を,化学固定(2%グルタルアルデヒドおよび1%オスミウム酸による二重固定)あるいは急速凍結固定し,前者はエタノール脱水,後者は0.01%オスミウムアセトンによる凍結置換後,Spurr樹脂に包埋した.αGluおよびβGluに対してそれぞれマウスIgMλ(MOPC-104e),(1→3)-β-グルカンマウスIgGモノクローナル抗体,次いで各金コロイド標識二次抗体でラベルした.その結果,各細胞壁成分が検出された領域に重なりはあったが,βGluはいもち病菌細胞壁全体に,またαGluは細胞壁外側周辺にもっとも多く検出される傾向があり,両グルカン成分の細胞壁内局在には偏りがあることが示唆された.今後、宿主細胞による病原菌認識におけるαGluおよびβGluの役割を明らかにする必要がある.(本研究は生研センター異分野融合研究事業により支援を受けた.)
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© 2009 日本菌学会
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