日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: A31
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ブナ林におけるギンリョウソウ及びウメガサソウの菌根共生の実態
*廣瀬 俊介岩瀬 剛二
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抄録
ギンリョウソウ(Monotropastrum humile)及びウメガサソウ(Chimaphila japonica)は共にツツジ科シャクジョウソウ亜科の植物で, ギンリョウソウ属は葉緑素を欠く絶対的な菌従属栄養植物であり, ウメガサソウ属は緑葉を持つが, 菌類にも依存する部分的菌従属栄養植物であることが示唆されている. ギンリョウソウは, 根系に菌根を形成し, ベニタケ科と特異的に共生関係を持つことが明らかにされてきているが, ブナ林における菌根共生の実態は明らかになっていない. また, ウメガサソウは菌根共生現象に関する知見に乏しい. 本研究はブナ林に自生するこれら植物の菌根共生の実態を明らかにすることを目的とした. 鳥取県八頭郡八頭町のブナ純林にはギンリョウソウとウメガサソウが自生しており, その植物形態および菌根形態を光学顕微鏡を用いて観察し, 次いで菌根のrDNA ITS領域を用いて系統解析し, 菌根菌種を同定した. その結果, ギンリョウソウは根に菌鞘とペグ状組織が認められ, モノトロポイド菌根を形成していることが確認できた. また, 植物のサイズや形態, 菌根形態の違い等により2つのタイプに分けることができ, それぞれのタイプはベニタケ属内の異なる種の菌根菌と共生していることが系統解析の結果, 示された. 一方, ウメガサソウは表皮細胞内に菌糸コイルが認められたことなどから, アーブトイド菌根を形成していることが確認できた. また, 系統解析の結果, キシメジ属の菌根菌と共生していることが明らかになった. なお, ウメガサソウの菌根および菌根菌については今回の報告が初めてのものである. 今回, 同所的に生育する2種の植物間に共生する菌根菌に違いが見られ, 特異的選択性の存在が示唆された.
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© 2009 日本菌学会
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