日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C13
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アッケシソウ内生菌の多様性と普遍性について
*岡根 泉外山 香子中桐 昭
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抄録
北海道東部と瀬戸内海沿岸に隔離分布するアッケシソウ(Salicornia europaea L.)について, その内生菌の多様性と普遍性を明らかにするため, 2006年9月, オホーツク海に面した汽水性の能取湖およびサロマ湖湖岸の塩性湿地に生育するアッケシソウを採集し, 表面殺菌処理した地上部組織より菌の分離を行った. これらの分離株および1997-1998年に同地域と瀬戸内海沿岸の塩田跡で採集した同植物に由来する分離株について, rDNA・ITS領域および28SrDNA・D1/D2領域の塩基配列を決定し比較検討を行うとともに, BLAST検索に基づく種の推定を行った. その結果, 1997-1998年次と2006年次の調査間で道東産アッケシソウの主要な内生菌菌類相に顕著な差異は認められず, いずれにおいてもAlternaria alternataおよびPleospora sp.(不完全世代:Stemphylium)が高い頻度で検出された. 次いでCladosporium cladosporioidesEmbellisia phragmosporaが高頻度で検出された. 同様の傾向は瀬戸内海産アッケシソウにおいても認められ, 菌体組織にメラニンを含有するこれらの暗色糸状不完全菌類(およびその完全世代)が日本産アッケシソウの主要な内生菌であると示唆された. これら以外の内生菌として約20種がアッケシソウから分離された. 多くの場合, Alternaria属菌をはじめとする暗色糸状不完全菌類は陸生維管束植物上では表生菌として存在し, 宿主の老化に伴い組織内に侵入する一方で, 健全組織から内生菌として検出される頻度は低いとされている. しかしながら, 本研究で得られた結果は, アッケシソウ属を含む他の塩生アカザ科植物の内生菌に関する海外の調査結果とも類似する傾向が認められ, 普遍的な宿主-内生菌連関が示唆された.
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© 2009 日本菌学会
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