日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C15
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本邦におけるツツジ科植物根系に生息するOidiodendron属の種多様性
*広瀬 大徳増 征二
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抄録

Oidiodendron属菌は,主に土壌中で腐生的に生息する不完全菌であり,これまで23種が記載されている (Rice & Currah 2005).それら既知種の少なくとも8種はツツジ科植物根系でエリコイド菌根を形成する能力を有することが知られている.ところが最近演者らが台湾のツツジ属根系に生息するO属菌の分布調査を行った結果,出現した6種全てがエリコイド菌根形成能力を有し,しかもうち5種が新種であることが判明した.一方,Tokumasu (1973, 1976) が本邦全域の土壌から分離した既知種8種のO属菌のうち,現在エリコイド菌根菌として知られている種は7種に上る.これらのことから,演者らはエリコイド菌根を形成するツツジ科植物の種多様性の高いアジアの温帯域には多様な種のO属菌が生息している可能性が高いと推定した.そこで,エリコイド菌根を形成するツツジ科植物が緯度や標高を問わず広範囲に分布している本邦において,ツツジ科植物根系に生息するO属菌の種多様性を明らかにし,個々の種の地理的分布パターンを考察した.2005年から2007年に本邦全域にわたる60地点で本菌の分布調査をおこなった結果,8種の未記載種を含む全24種が本邦に分布することが明らかになった.講演では,本邦におけるO属菌の分布パターンを標高,緯度等の点から分析した結果を報告する. なお,本研究の一部は財団法人発酵研究所の助成 (2006-2008) を受けて行った. [参考文献] Rice & Currah (2005) Studies In Mycology 53: 83-120 Tokumasu (1973) Trans. Mycol. Soc. Japan 14: 246-255 Tokumasu (1976) Trans. Mycol. Soc. Japan 17: 99-105

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© 2009 日本菌学会
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