日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第53回大会
セッションID: C16
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植物から分離された糸状菌による生分解性プラスチック製のマルチフィルムの分解
*小板橋 基夫北本 宏子藤井 毅鈴木 健對馬 誠也
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抄録

雑草防除や保温のため, 農業資材としてマルチフィルムが大量に使用されている. しかし, 使用後の回収に労力がかかり, 廃棄の際には燃焼や埋め立てなどが必要で, 環境に悪影響を及ぼしている. そのため, 使用後は微生物により分解される生分解性のプラスチック(生プラ)の研究が進み, 実用化され始めた. しかし, 生産現場では使用後の分解が遅いなど問題があり, 生プラ資材の分解を促進する技術の開発が求められている. 生プラは脂肪酸ポリエステル構造を持つものが多く使われているが, 植物の体表面を覆うクチクラ層にも脂肪酸ポリエステル構造が含まれている. そこで, 生プラと構造が似ている葉面から分離された糸状菌の中には, 生プラを分解する能力を持つ物があると推測し, 生プラ分解菌の選抜を行った. 2005年および2006年につくば市農環研圃場のイネ科作物の葉面から洗浄法により1227菌株の糸状菌を分離し, 生プラ分解菌選抜培地(小板橋ら 2008)を用いて, 70菌株の生プラ分解菌を選抜した. これら分解菌には多様な糸状菌が含まれ, Cladosporium属菌, Penicillium属菌およびAlternaria属菌などの分離数が多かった. その中で, オオムギ葉から分離された不完全菌類の一種の47-9菌株は最も生プラ分解能力が高く, その培養液中には大量の生プラ分解酵素の蓄積が認められた. この酵素のアミノ酸内部配列を解析したところ, 分子量20kDaの新規の酵素であった. この菌の生産する酵素液を培養土上に置いた縦10cm, 横14cmの生プラマルチフィルムのポリブチレンサクシネート/アジペート(PBSA)に散布処理したところ, 6日間で, 重量にして 91.2 %が分解された. さらに, PBSA 以外の分解しにくいポリブチレンサクシネートも23.7%が分解された.

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© 2009 日本菌学会
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