日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第55回大会
セッションID: A29
会議情報

スピッツベルゲン島で分離された低温菌Trichoderma polysporumの成分研究
*加茂 美唯板橋 武史河合 賢一東條 元昭星野 保細江 智夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

スピッツベルゲン島で分離された低温菌〈I〉Trichoderma polysporum〈/I〉の成分研究 ○加茂美唯1)・板橋武史1)・河合賢一1)・東條元昭2)・星野保3,4)・細江智夫1)1)星薬大;2) 大阪府大生環;3) 産総研;4) 北大生命) Chemical screening of psychrotrophic fungi Trichoderma polysporum from Spitsbergen islands in Norway by M.Kamo1), T. Itabashi1), K. Kawai1), M. Tojo2), T. Hoshino3,4), T. Hosoe1) ( 1)Hoshi Univ.; 2)Osaka Pref. Univ.; 3)AIST; 4)Hokkaido Univ.) 極限環境下に生息する微生物の中には環境適応戦略として,特殊な酵素や代謝系を獲得していることが知られている.低温菌もその1つで,低温活性酵素や低温条件下での特有な性質を保持していると考えられている.極寒冷地ノルウェー国スピッツベルゲン島(北緯71-81º,東経10-35º)で分離された真菌〈I〉Trichoderma polysporum 〈/I〉は温帯産同種株と類似した性質を保持する一方で,低温下での病原菌に対する拮抗性とポリガラクツロナーゼの生産性が高いことが報告されている.本研究では,スピッツベルゲン島の2 地点 (Barentsburg,Longyearbyen)に存在するカギハイゴケ群落から分離された〈I〉T. polysporum 〈/I〉6 菌株(Barentsburg からOPU1567, OPU1568, OPU1569 ,Longyearbyen からOPU1570, OPU1571, OPU1572)の第二次代謝産物について検討した.各菌株を2つの培養条件(米培地,4ºC, 約12ヵ月および20 ℃,約2ヶ月間)で培養した後,メタノール抽出した.メタノール抽出物は水/酢酸エチルで液液分配した後, 酢酸エチル抽出物としてHPLC/PDA 分析に供した.その結果,Barentsburg 採取菌株には認められないLongyearbyen採取菌株のみが産生する化合物 (分子式C12H15NO2) の存在を明らかにし,その化学構造を決定した.

著者関連情報
© 2011 日本菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top