日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第55回大会
セッションID: B15
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ヘテロタリック Neosartorya の 1 新種とその子のう胞子から発芽生育した集落のアナモルフの多様性
*松澤 哲宏矢口 貴志堀江 義一五ノ井 透Paride AblizGalba Takaki
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抄録
ブラジル土壌から分離した Aspergillus fumisynnematus とアメリカのガン患者から分離された Aspergillus luntulus のタイプ株を MA, PDA 平板を用いて対峙培養をしたところ,接種約3ヶ月後に対峙面に白色の子のう果を形成し,子のう胞子も成熟した.子のう胞子の形態は既知のヘテロタリック Neosartorya の子のう胞子とは異なり新種である事を認めた.子のう胞子を 70℃,30 分の加熱処理をおこない発芽を確認し,両種は同一種であることが示唆された.形成されたテレオモルフは新種Neosartorya fumisynnemata とし,アナモルフは A. fumisynnematus で,A. luntulus はそのシノニムとした.A. fumisynnematus は分生子束を形成する事を特徴として創設された種であるが,今回対峙培養をおこなった株の集落は綿毛状で,分生子束は形成しなかった.しかし,子のう胞子から発芽し生育した集落はビロード状,綿毛状,縄状,分生子束状の多様性を示した.これらの菌の MAT 遺伝型はブラジル産の A. fumisynnematus が MAT-1-1,A. lentulus が MAT-1-2 を示した.子のう胞子から発芽形成された株は MAT1-1 と MAT1-2 が認められた.親株及び F-1 株についてβ-tubulin, calmodulin, actin 遺伝子を用いて系統関係を分析した結果,子のう胞子形成時に染色体の組換えが起こっている事が認められた.
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© 2011 日本菌学会
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