2011 年 13 巻 2 号 p. 88-92
本研究では,溶液化学における重要な化学過程である溶媒和と溶液反応の二つの過程を,原子レベルから計算科学的手法を用いて定量的に理解することを目的として,分子動力学(MD)法と分子軌道(MO)法を組み合わせた量子力学的/分子力学的分子動力学(QM/MM-MD)法と統計力学的な自由エネルギー解析手法を組み合わせた理論的解析を行い,実験との比較を行った.本解析により,アンモニア水和過程と水溶液中でのグリシン異性化反応過程に対して,凝集環境をあらわに考慮した自由エネルギー的機構を明らかにした.