アンサンブル
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特集「マルチスケール・シミュレーション:古典から連続体への接続」
振動境界層流れにおける高分子液体の動的レオロジー特性
安田 修悟山本 量一
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2011 年 13 巻 3 号 p. 105-111

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抄録
高速振動平板間にある高分子液体の動的レオロジー特性を古典分子動力学計算と計算流体力学の階層連結計算法を用いて解析した. 高速振動平板上にある流体は慣性の効果によって平板上で振動境界層流れを形成する.高分子液体の局所歪速度は境界層内部で急激に変化し,その結果,その局所的な動的レオロジー特性もまたシアシニング効果や非線形効果によって空間的に大きく変化する.例えば,振動数が大きい場合には,振動板から離れた位置では弾性の方が優位な粘弾性固体的に振舞う高分子液体が,振動板近傍においては弾性の無視できる粘性流体的にその振舞いを大きく変化させる.高分子液体の非線形レオロジー応答については,高分子液体の局所歪は振動板に近づくにつれて単調に急激に増加するにもかかわらず,平板振動数ω0の高調波成分の非線形応答は振動板のごく近傍において急激に減衰することが分かった.また,振動板近傍の高分子液体の局所応力と局所歪のリサージュ図形において,その一周期の中で弾性率がシアシックニングを示すことも明らかにされた.
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© 2011 分子シミュレーション研究会
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