抄録
エネルギー地形とは,系の持つエネルギーを座標の関数として表したものであり,系のダイナミクスや統計的性質を視覚的な情報としてとらえる事を可能にしてくれる有用な概念である.多自由度系のエネルギー地形を考える際には,全ての座標を描くことが不可能なので,特定の座標を選択し,射影した地形を描くことになるが,射影のしかたによって「自由エネルギー地形」と「平均力ポテンシャル」という2 種類のエネルギー地形が考えられる.本稿では,これらふたつのエネルギー地形概念の違いを明確にし,両者が一致するための条件や両者の違いを生む要因について概説する.