抄録
Dy フリーかつ高温で使用出来るネオジム磁石の開発が社会的要請として求められており,ネオジム磁石の高性能化に資する電子論的な基礎的知見が求められている.一方,Nd-Fe-B 焼結磁石の磁気特性を理解する鍵は磁壁移動のピン留めの原因となると考えられている材料組織界面であり,主相(Nd2Fe14B 金属間化合物)単結晶の第一原理計算では不十分である.本稿では,材料組織界面の構造同定と磁気的基礎物性を明らかにするための「京」を用いた大規模第一原理計算と,磁化反転挙動の理論解析に必要となる第一原理計算と格子スピン模型の融合などを紹介する.