本稿では,人工知能(機械学習)を援用して,蛋白質を機能改変・高機能化する方法について述べる.蛋白質の大量の変異体を作り出し,その中から有用な変異体を取り出す手法の研究は進化分子工学と呼ばれて いる.指向性進化法,ファージディスプレイ法などの手法を用いることで,酵素・抗体の機能を改善することが示され,2018 年のノーベル化学賞は進化分子工学の研究者に与えられたほどである.一方で,これらの手法によって作られる変異体ライブラリーのサイズは,しばしば巨大なものとなり,目的変異体の迅速・確実な取得が困難となってしまう.本研究では,変異体ライブラリーの作製に機械学習による機能予測を導入し,目的変異体を含む確率が飛躍的に向上している小規模な変異体群(スマートホットライブラリー)を構築することで,低コスト・高速に高機能性分子を創出する手法を提案する.