2019 年 21 巻 1 号 p. 29-33
分子動力学シミュレーションでタンパク質の動的性質等を解析する際にしばしば用いられるKabsch の方法に代表される従来の構造重ね合わせ手法には、タンパク質に特有な大きな構造ゆらぎに起因する不定性が伴い,時には解析結果に重大な影響を及ぼす可能性がある.筆者は分子動力学シミュレーションでタンパク質の動的性質をより精密に解析する為に,従来用いられてきた手法に代わるベイズ推定を用いた新たな方法を考案した.このベイズ推定を用いた構造重ね合わせ法の特徴と応用例について報告する.