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和周波発生振動分光計測と分子シミュレーションからみる氷表面の分子構造
杉本 敏樹石山 達也
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2019 年 21 巻 3 号 p. 177-184

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抄録

液相や固相界面を分子数層レベルでプローブする強力な手法として和周波発生振動分光法が広く用いられるようになった.近年では,位相敏感なヘテロダイン検出和周波発生振動分光法により,界面における分子配向や分子間力の詳細が明らかになってきた.しかし,実験では複数の構造に由来して複数のスペクトルが重なって観測されるため,界面構造の一意的な解釈を与えることが困難である.一方,分子シミュレーションは界面構造を直接議論する強力な手法として発展してきたが,界面のような不均質系での分子構造は,用いる力場に敏感に依存するため,やはり界面構造を一意的に決めることが困難である.我々は,和周波発生振動スペクトルを含め実験観測量を直接分子シミュレーションで評価する手法を取ることにより,界面構造を一意的に特定するというアプローチをとってきた.今回,実験とシミュレーションの共同研究により,氷表面の分子構造の詳細が明らかになってきたので,その最新の成果を報告する.

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© 2019 分子シミュレーション学会
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