2020 年 22 巻 4 号 p. 289-293
高分子は構造材の用途として使われることも多いため,破壊に関する研究は古くから行われている重要な テーマの一つである.高分子の教科書を眺めると,10 章付近に破壊や変形に関する記述がある.これまでの 研究よりシャルピー試験をはじめとしたマクロな試験が確立されてきた.マクロ試験を説明するために,現象論モデルや,化学性を考慮しない粗視化モデルによる研究が数を多くなされ,破壊現象の普遍性の解明において成功を収めてきている.しかしながら,「化学」という立場に立つと,普遍性は結局どのような「化学 的特徴」から生じるのか明らかとなっていない.我々は,化学的特徴を反映した全原子分子動力学(AA-MD) 計算を用いてこの問題に取り組んでいる.その中から,本稿では脆性破壊を示すポリメタクリル酸メチル (PMMA)とポリカーボネート(PC)の衝撃破壊シミュレーションについて解説する.