2021 年 23 巻 2 号 p. 103-112
真空中の2つの同符号電荷は斥け合う。しかし、電解質溶液中では、電解質によって斥力が遮蔽されたり、極端な場合は実効的に強い引力が働く事がある。興味深い事に、電解質濃度依存性に対して酸性タンパク質がリエントラント凝集を示す事も実験で知られている。HNC-OZ 理論で実効相互作用を計算したところ、実験に対応する実効相互作用のリエントラントな変化が起きることがわかった。この実効引力は注目する同符号電荷とは逆の符号のイオンが媒介する引力であり、共有結合の古典描像で捉えることができる。この解説では、液体の積分方程式理論に基づく筆者らの理論的研究を紹介する。