アンサンブル
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23 巻, 2 号
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特集「電解質溶液」
  • 山口 毅
    原稿種別: 論説
    2021 年 23 巻 2 号 p. 77
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー
  • 岡本 隆一
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 23 巻 2 号 p. 78-87
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    イオン固有効果,すなわち等しい電荷をもつイオンが溶液物性に異なる影響をもたらすこと,に関しては古くからの膨大な研究がある.所謂Hofmeister 系列と呼ばれるイオン系列をはじめ,様々な状況においてイオン固有効果は顔を出す.その物理的メカニズムは未だに解明されていないことが多いが,イオン-溶媒相互作用,それに伴うイオン間溶媒誘起相互作用が重要な要素である.本稿では,筆者らによる「溶媒自由度を取り入れた連続場理論」を紹介する.そしてそれを用いることで,いくつかのバルクの熱力学量におけるイオン固有効果(イオンサイズ効果) が,排除体積効果と水和(電縮) 効果の競合の結果であるということが,比較的単純に理解できることを示す.

  • 植松 祐輝
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 23 巻 2 号 p. 88-95
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    疎水性界面は正負のどちらに帯電しているかという問題は100 年以上前から界面物理化学の中心的課題となっている.また,電解質溶液の表面張力は低塩濃度でジョーンズ・レイ効果と呼ばれる極小を持つことが,古くから知られている.著者らは,表面活性のある微量のイオン性不純物の影響を考慮した疎水性界面の理論研究に取り組んでおり,本稿では,これらの問題の近年の進展を著者らの研究と関連付けて解説する.

  • 平野 智倫
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 23 巻 2 号 p. 96-102
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    液液界面におけるイオン移動,プロトン移動や電子移動のような電荷移動は最も基礎的な素反応であり,幅広い応用可能性を持つ.しかしながら,液液界面における分子のふるまいを実験によって直接・選択的に観測することは極めて挑戦的であり,これらの輸送現象についての分子論的な理解は未だに十分ではない.本稿では,分子動力学(MD)シミュレーションを用いた自由エネルギー計算により反応機構が明らかになった界面反応の例として,液液界面における電子移動反応を紹介する.

  • 秋山 良, 末松 安由美
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 23 巻 2 号 p. 103-112
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    真空中の2つの同符号電荷は斥け合う。しかし、電解質溶液中では、電解質によって斥力が遮蔽されたり、極端な場合は実効的に強い引力が働く事がある。興味深い事に、電解質濃度依存性に対して酸性タンパク質がリエントラント凝集を示す事も実験で知られている。HNC-OZ 理論で実効相互作用を計算したところ、実験に対応する実効相互作用のリエントラントな変化が起きることがわかった。この実効引力は注目する同符号電荷とは逆の符号のイオンが媒介する引力であり、共有結合の古典描像で捉えることができる。この解説では、液体の積分方程式理論に基づく筆者らの理論的研究を紹介する。

  • 鷲津 仁志
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 23 巻 2 号 p. 113-120
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    高分子電解質溶液は,対イオン凝縮のような熱統計力学的な不安定性に起因する広範囲の状態を議論しなければならないため,全原子分子動力学よりも粗視化分子シミュレーションで扱うことが適切である.そのために必要な計算手法の拡張について,筆者らの研究室で開発してきたアルゴリズムを紹介する.まず,高分子電解質溶液論として重要である対イオン凝縮理論を説明し,この系を扱うために開発されたMonte Carlo Brownian Dynamics法を説明し,これを用いたDNA 水溶液の対イオン分極の機構解析の結果を示す.また,ブラシ状,球状,平板間の電解液に適用した事例と,溶媒和および溶媒の流れを取り入れる粗視化シミュレーションについて紹介する.

最近の研究から
連載
  • 熱力学的性質の計算方法
    三上 益弘
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 23 巻 2 号 p. 133-137
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    これまでは分子シミュレーションの方法について説明してきた.これからは,分子シミュレーションから得られた座標と運動量(分子動力学法のみ)を用いて得られる熱力学的性質,構造的性質,輸送係数,スペクトルの計算方法について説明する.これらの諸量は,実験的に測定される量であるので,分子シミュレーションの方法の検証ができると同時に,自然界で起こっている現象を分子シミュレーションにより原子レベルで詳細に調べることが可能である.今回は,熱力学的性質の計算方法について説明する.

ソフトウエア紹介
博士論文紹介
  • 宮川 晃一
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 23 巻 2 号 p. 143-147
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2022/04/30
    ジャーナル フリー

    N-acyl-2-amino-7-methyl-1,8-naphthyridine はグアニン(G)塩基と相補的な水素結合を形成し,リガンドとしてG バルジDNA 二重鎖と選択的に結合する.しかしながら,G バルジDNA 二重鎖とリガンドとの複合体の構造は依然不明である.本研究では,分子動力学(MD)シミュレーションを用いてAN3 またはその誘導体とG バルジDNA 二重鎖との複合体の推定構造を決定し,複合体形成のための自由エネルギー差を予測し,新規リガンドを設計することを目的とした.計算結果は,G バルジDNA 二重鎖-リガンドの安定性にAN3 とその誘導体の第一級アミノ基と,N-アシルアミノ基の炭素鎖長が重要であることを示した.また,検証のためG バルジDNA 二重鎖-リガンド複合体の融解温度測定により複合体の安定性の評価を行った.

研究室だより
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