2021 年 23 巻 4 号 p. 224-229
ゴムやプラスチック,生体材料など高分子を利用した材料は身の回りに沢山ある.材料開発では,実験に 先行した物性評価やその分子論的な起源を探るために, 分子シミュレーションもよく利用される.近年はマ テリアルズインフォマティクスにおける材料データの生成や検証といった役割も大きくなっている.しかし, 高分子は分子内自由度が高く,絡み合いなどのために平衡緩和に長時間計算が必要になるなど,計算コスト が大きい.このため分子の特徴を踏まえた粗視化シミュレーションの技術が必要になる.本稿では,単一の 高分子メルトおよびブレンド系へ系統的粗視化を適応した事例を紹介し,粗視化シミュレーションの活用法 について考えてみたい.