2021 年 23 巻 4 号 p. 242-248
現在,計算材料科学技術は,日本の材料産業分野の研究開発において,データ科学技術の急速な展開,お よび,世の中のデジタルトランスフォーメーションの巨大な潮流とも相俟って,実活用化は一段と加速し, 既にコモディティー化,デファクトスタンダード化しつつある.しかし,その高精度ゆえの実活用限界の低 さ,計算プログラムの膨大化・複雑化,実装技術の古さ,主流である手続き(命令)型プログラミングの限 界,レガシーなプログラム言語,他,数多くの重要な課題が顕在化している.我々は,現状からのブレーク スルーの可能性を探るべく,計算材料科学への数学・数理科学からの新たなアプローチを試みている.本稿 では,手続き型プログラミングに代わる,数学・数理科学の知識と技術を積極的に関数型プログラミングに 取り入れた数理ベースプログラミングによるアプローチについて紹介する.