生体高分子の液-液相分離について, その微視的な分子メカニズムの解明が重要な課題となっている. 分子シミュレーションはそのための有力なツールのひとつとなっており, 様々な手法やソフトウェアが提案されている. その試みのひとつとして, 我々の研究グループでは独自の分子動力学計算プログラム myPresto/omegagene の開発を行ってきた. 本稿では本ソフトウェアの開発と, これを用いた粗視化モデルによる蛋白質液滴様集合体の形態解析への応用について紹介する. 本研究ではモデルとなるペプチド配列に対して様々な分布で荷電性残基を導入して, 配列上の電荷分布が液滴様集合体の形成に及ぼす影響を調べた. その結果, 総電荷が同一の場合でも, その電荷分布によって液滴様集合体の形態や諸性質が大きく異なることがわかった.