本稿では, 筆者が執筆した博士論文の第二章, 第三章に関する内容である「密度汎関数理論における自由エネルギー密度汎関数の新しい構成方法」について紹介する. 密度汎関数理論は溶媒和の熱力学的な性質を計算するための有力な方法の一つである. 一方で, 未知である自由エネルギー汎関数を構成するための一般的指針が存在しないため, その近似精度を系統的に向上させることが困難である. 本研究では, 従来の近似理論からの系統的な改善を目的として, 自由エネルギーの新たな汎関数形を提案し, これを決定するための積分方程式を導出した. 本手法をLennard-Jones 流体の気液相平衡と溶媒和の解析に適用したところ, 従来の近似からの大幅な改善を得た.
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