液体を結晶化が阻害されるほどの速度で急冷すると,結晶とは異なる固体状態になる.これがガラスである.ガラスは,多くの面で結晶とは異なる性質を示し,その理解は結晶に比べて大きく遅れている.近年の理論的,数値的研究の発展によって,ジャミング系と呼ばれるガラスの一種が,ガラス全体の理解を進める上で鍵となることが分かってきた.しかしながら,理論研究は平均場理論に集中している.これは空間次元を無限大にするというような理想的な極限で厳密になる理論であり,数値実験の結果と比較する際には困難が伴う.そこで本研究では,理論と数値実験の差を埋めるべく,空間次元9次元までのジャミング系を用いた数値実験を行い,結果として数値実験と理論が確かに整合的であることを解明した.