抄録
生命の起源は未だ多くが謎に包まれており,不思議で未知の世界が広がっている.中でも生体構成分子のホモキラリティ問題は重大な問題となっている.これは,生体を構成するアミノ酸は,L 体でのみ構成されているが,何故 L 体( D 体ではなく)が選択されたのか?という問題である.本問題は物質と生命の違いを明確にする重要な観点でもある.これまでの研究から,隕石中にアミノ酸の L
体過剰が達成されていることが報告されている.そのため,生命の起源は宇宙由来である可能性がある.本稿は,分子進化が宇宙とどの様に関連し,生命起源と繋がるのかなどについて,分子物性の理論的解明から紐解く試みである.