アンサンブル
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特集「量子生体」
連載
最近の研究から
  • 栗﨑 以久男
    2024 年 26 巻 2 号 p. 200-205
    発行日: 2024/04/30
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー
    タンパク質による ATP/GTP 加水分解反応は様々な生命現象の駆動力である.一方,この化学エネルギーを力学的仕事に変換する物理化学的メカニズムは完全には理解されていない.本研究では「化学種の変化に伴うクーロン斥力相互作用-運動エネルギー変換が力学的仕事を生み出す」という John Ross の仮説に注目,「力場切り替え法」を用いた古典分子動力学シミュレーションを用い,化学種の変化に伴う力学的仕事生成の可能性を調査した.低分子型 GTPase である Ras タンパク質と GTPase 活性化タンパク質(GAP)の複合系にこの手法を適用したところ,GTP 加水分解により Ras タンパク質のリン酸塩結合ループ(P loop)にポテンシャルエネルギーとして約 5 kcal/mol が蓄えられることが分かった.一方,この力学的仕事生成は Ross 仮説における運動エネルギーの生成とは全く無関係で,GTP が GDP と無機リン酸に変化することのみに由来していた.このことから Ras の様なタンパク質は熱化しやすい運動エネルギーに依存せず,頑強に力学的仕事生成するメカニズムを備えていていることが示唆される.
  • 森 貴治
    2024 年 26 巻 2 号 p. 206-212
    発行日: 2024/04/30
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー
    近年, 構造生物学分野において, クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析によるタンパク質の立体構造解析が盛んに行われている. このような実験においても, 分子シミュレーションは, タンパク質の予測構造の精密化や構造エラーの解消にも応用される. 本稿では, 分子動力学 (MD) 計算法に基づいて電顕マップから立体構造をモデリングする手法の1つである,「クライオ電顕フレキシブル・フィッティング」に関する概要を簡単に説明した後, 電顕像からアミノ酸配列に基づいてタンパク質の立体構造を予測する, 「De novo モデリング」の改善に関して, 筆者らが最近開発した構造精密化法について紹介する.
ソフトウェア紹介
  • 吉川 信明
    2024 年 26 巻 2 号 p. 213-220
    発行日: 2024/04/30
    公開日: 2025/05/01
    ジャーナル フリー
    VR-MD は分子動力学計算の専門家が考える分子運動を初学者に身近に体験してもらうことを目的としたスマートフォン向けバーチャルリアリティ(VR)アプリケーションである.* センサ情報から顔の向きと体の移動を検知する 6DoF 技術と,カメラ情報から使用者の手の動きを推定するハンドトラッキング技術を活用し,VR 空間中で動く分子を自由な角度から見ることや,VR 上に表示された手で分子に触ることができる.本稿では VR 技術を用いた化学教育の背景からアプリケーションの概要を説明し,詳細な実装についても解説する.
博士論文紹介
研究室だより
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