無機マテリアル
Online ISSN : 2185-436X
ISSN-L : 1340-7899
12CaO・7Al2O3系固溶体の水和におよぼす塩化物の影響
三五 弘之宮川 継男安江 任荒井 康夫
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1995 年 2 巻 254 号 p. 32-39

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抄録

各種塩化物 (CaCl2, MgCl2, NaCl, NH4ClおよびAICl3) の共存した, あるいは共存しない場合における12CaO・7Al2O3系固溶体 (C12A7ss;11CaO・7Al2O3・Ca (OH)2, 11CaO・7Al2O3・CaF2および11CaO・7Al2O3・CaCl2) の水和過程および水和速度を25℃の条件下で測定した。各種Cl2A7ssは焼成法により調整した。ほぼ等しい表面積を有するC12A7ssの水和速度の順番はつぎのようにしめされる;11CaO・7Al2O3・Ca (OH) 2<11CaO・7Al2O3・CaCl2<11CaO・7Al2O3・CaF2。各種塩化物の共存下においてC12A7ssが水和するとき, 最初に生成する水和物は3CaO・Al2O3・CaCl2・10H2O (Friede1塩) である。C12A7ssの水和速度はAlCl3以外のCaCl2, MgCl2, NaClおよびNH4Clの共存により減少する。その結果・C12A7ssの凝結時間は延長し, 未水和物は比較的長時間残る。ある一定期間の後, C12A7ssの再水和が発熱をともなって開始する。11CaO・7Al2O3・Ca (OH) 2がCaCl2水溶液中に投入されるとき, Friedel塩の微小な結晶によりその表面は覆われる。したがって, 塩化物の存在下におけるC12A7ssの遅延機構はFriedel塩による未水和物表面の被覆によると考えられる。

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