マイコトキシン
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シンポジウム
アフラトキシン生産阻害物質アフラスタチンの作用機構の解析
作田 庄平
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2002 年 52 巻 2 号 p. 153-159

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抄録

アフラスタチンA (1)は Aspergillus parasiticus のアフラトキシン生産を特異的に阻害する化合物として見出されたが,Colletotrichum lagenarium のメラニン生産等カビの他のポリケタイド化合物の生産も阻害する.本研究では1のアフラトキシンおよびメラニン生産阻害機構に関する検討を行った.1はアフラトキシン生合成中間体であるノルソロン酸の生産を阻害した.1の添加によりアフラトキシン生合成酵素をコードする遺伝子(pksAverlomtA)の転写が抑制され,またそれら遺伝子の発現を抑制する aflR 遺伝子の転写も抑制されることが RT-PCR および TaqMan-PCR により示された.さらに1の添加により A. parasiticus のグルコース消費の促進およびエタノールの蓄積が起こることが判明した.一方,1は C. lagenarium のメラニン生合成中間体であるシトロンの生産を阻害したが,1とシトロンの同時添加でメラニン生産が回復した.メラニン生合成酵素の転写を RT-PCR により調べたところ,メラニン生合成の第一段階であるポリケタイド合成酵素をコードする遺伝子(pks1)の転写が特異的に抑制されることが示された.以上より,アフラスタチンのアフラトキシンあるいはメラニン生産阻害における作用点は一次代謝と二次代謝の間にある未知の段階にあると推定された.

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© 2002 日本マイコトキシン学会
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